技術情報

4.MT-55型ランマーのエンジン調整について


数年前までランマーは、空冷2サイクル混合ガソリンエンジン搭載型が多く採用されて来ましたが、重機などに課せられた排ガス規制の影響もあり最近では空冷4サイクル ガソリンエンジン搭載品を使用されるお客様が増えつつあります。
ランマーは、縦に長い機械です。その為に、使用しない時や移動の時に本機を寝せる(倒す)場合が有ります。
オイルバス式及び空冷4サイクルガソリンエンジンは倒すことに起因すると思われる不具合のお問い合わせや調査の依頼も多くなっております。
今回の技術教室はこのあたりにテーマを絞って行きたいと思いますが、先ずは原動機となりますエンジン回転数の調整に関する所から話を進めます。
ランマーでお問い合わせが多いのは、上下に跳ねるタイミング(打撃)の不整です。
エンジンの回転は、遠心クラッチを介して本機内のギヤに伝わるのですが、打撃が不整となる多くの原因はこのクラッチが半クラッチとなった場合に発生します。
半クラッチの原因として最も多いのはエンジン回転数に起因するものです。エンジン回転数が中途半端ですと遠心クラッチの開き(接触面)も 中途半端でクラッチが繋がりきれずに動力の伝達が不十分となり、本機の不整によっていわゆる「機体が踊る」という状態になります。
そのため取扱説明書でもアクセルレバーは一気に上げて動かし、一気に下げて停止する様に説明しています。
ランマーに搭載されている空冷4サイクルエンジンの回転数は、エンジン本体内にあるガバナ(錘)の位置によって決まります。
ガバナの位置は、エンジンクランクケース外に出されたガバナシャフト(軸)で調整します。先ず、このガバナ装置の調整方法を MT−55型に搭載しているEH09ロビンエンジンを例に説明いたします。

  • アクセルレバーを最高速の位置に開き、調速ワイヤーを通してエンジン側の回転調整レバーを高速方向に傾けます。
  • 回転調整レバーが、ガバナスプリングを引き、ガバナレバーが引き付けられ、ガバナロッドを押し(引き)、キャブレターのスロットルバルブが完全に開いていることを確認します。(図参照)
  • マイナスドライバーを使用し、ガバナシャフトを時計回りに回転させた位置で、ラチェットを使って固定ボルト(M6)を締め付けてガバナレバーをガバナシャフトに固定します。

この時、セット位置が不十分だと装置が機能しません。アイドリングが高速回転になったりします。その場合は、再度セットしてください。
ガバナ調整をしましたら次に、キャブレター(気化器)の回転調整をします。

  • アクセルレバーを低速にしてエンジンを始動します。
  • キャブレターのスロットルレバーを全閉にして、キャブレター上部のストップスクリューで1,400±100rpmにセットします。
  • 次に回転調整レバーの奥にあるベースプレートの右上にある低速セットスクリュー(A)で1,800rpmにセットします。
  • 最後にアクセルレバーを最高速の位置に開き、ベースプレートの左下にある高速セットスクリュー(B)でエンジンの最高速セット回転数をセットします。

MT−55型は、4,050〜4,100rpmです。MT−52FW型は、3,750〜3,950rpmです。
以前は、エンジン回転数を3,600rpmにセットすれば良い機械が多く、アバウトで良かったのですが、最近の機械は徐々に小型高性能化され、 合わせてエンジンセット回転数も上がって来ています。この為、昔のように耳でエンジン回転数を判断する事が難しくなっています。
その代りに点火コイルから点火プラグ(栓)間の配線にクランプして、発生する電気のパルスからガソリンエンジンの回転数を簡単に測定できるデジタルタコメーター(パルスメーター)が普及しています。
又、MT−55型、MT−52FW型双方ともロビンEH09型エンジンを搭載していますが、上記セット回転数及び本機側エアクリーナの違いからキャブレターの燃料を 調整するメーンジェットが違いますので、ご注文の時はランマー本機の型式を指定して下さい。
三笠製MT型オイルバス式ガソリンエンジン搭載のタンピングランマーで使用しているオイルは、本機・エンジン共に自動車用ガソリンエンジンオイル(SE級以上、SEA10W−30W)です。
本機は、樹脂製ベローズ下部に在る2つのプラグ(盲栓)の内、高い位置にあるプラグがオイルのレベルになります。

オイルが不足すると本機・エンジン共にピストンなどの焼き(傷)付きや軸受け部の破損の原因となります。逆に多かったり、固かったりしますと本機は過負荷となります。
何れの場合にも、冒頭に記した遠心クラッチが半クラッチとなり上下運動が不整脈を生じ本機が踊ってしまったり、クラッチのスプリングが切れたりする原因にもなります。
手許への防振性能が向上したMT−52FW型やMT−72FWL型の登場以降は、操作者が本機の転圧力を実感しなくなりました。
その結果、更に転圧力を強くしようとエンジンのセット回転数を上げてしまうケースが発生しています。
このエンジン回転を上げ過ぎる事によって、エンジン及び本機の潤滑をしているオイルが影響を受ける場合があります。
エンジン回転数が高過ぎたりオイルが多過ぎると本機・エンジン共に内部の圧力が上がり過ぎ、空気の逃げ道などからオイルが洩れ出ます。
又、本機を寝せた(倒した)為にフート板の位置が高くなり過ぎると本機ブリーザー及びエンジンの各穴部よりオイルが洩れる可能性が有ります。
クランク室内にオイルが在る空冷4サイクルガソリンエンジンを搭載する事によって、オイル管理の気配りが必要になった為かこのオイル漏れに対するお問い合わせが増えております。
本機が外的要因によって破損し、クラックなどからオイルが漏れる場合も有り得ますので、整備が必要な故障か見分け難い件ですが、本機洗浄の際はご注意下さい。
以上、紙面の都合でエンジン回転数のセット方法やキャブレターとオイルの説明しか出来ませんでしたが、三笠タンピングランマーを常に最高の状態でお使いくための参考にして頂ければ幸いです。

ページの先頭へ